近年、「保険医療局(あるいは保健医療局)」と名乗る国際電話を使った特殊詐欺の報告が全国的に増加しています。
この詐欺電話の特徴は、自動音声による案内と、「1を押してください」と誘導してくる点にあります。言葉遣いも比較的丁寧で、一見すると本物の行政機関からの連絡のように感じてしまう人も少なくありません。
実際に届いている詐欺メッセージの一例
「保健医療局です。保険証の使用に関して重要なお知らせがあります。何度もご連絡を差し上げましたがご返答がなかったので、こちらが最終のご連絡となります。オペレーターにおつなぎする方は1を押してください」
このメッセージは、「最終のご連絡」や「重要なお知らせ」といった言葉を使って、不安を煽り、利用者に操作を促すのが特徴です。詐欺の手口としては非常に典型的ですが、知らずに応答してしまう方も多く、注意が必要です。
発信される電話番号の例
確認されている電話番号には、以下のような国際電話番号(+で始まる番号)が多く使われています。
- +1833(アメリカのフリーダイヤル)
- +1844(アメリカ・カナダで使われるフリーダイヤル)
- +422(スイスなどの国番号風のもの)
- +86(中国の国番号)
いずれも、日本国内の電話番号ではなく、海外発信であることが共通しています。+の付いた見慣れない番号だと、つい出てしまう人もいますが、それが狙いです。
なぜこのような電話がかかってくるのか?
この詐欺の目的は、以下のようなものと考えられます。
- 個人情報の収集(氏名、住所、保険証番号など)
- クレジットカード情報の聞き出し
- 架空の未納金を理由にした金銭の振り込み要求
- 詐欺師との会話誘導による心理的支配
一度「1」を押してしまうと、詐欺グループのオペレーターにつながり、個人情報や金銭に関わる話に進展する可能性があります。中には、外国語や片言の日本語で応答されるケースもあり、そうした違和感も見逃さないようにしましょう。
行政機関が国際電話で金銭や個人情報を求めることはある?
ありません。
厚生労働省や市区町村の健康保険担当窓口が、いきなり国際電話で連絡をしてくることはありません。また、仮に確認事項があった場合でも、まずは書面や封書による通知が一般的です。
「電話でオペレーターに繋ぐよう指示される」
「外国からの電話で重要な情報を伝えてくる」
こうしたケースは、詐欺のサインです。
このような電話を受けた場合の対処法
- 「1」などの番号は絶対に押さない
- その場で電話を切る
- 電話番号を着信拒否設定にする
- 不安があれば、実際の行政窓口に問い合わせる
- 周囲の家族、特に高齢の親族にも注意喚起する
特に高齢者の方は要注意
このような詐欺電話は、高齢者を狙ったケースが非常に多いのも特徴です。「役所からの連絡かもしれない」「保険のことだから無視できない」といった心理を巧みに突いてきます。
離れて暮らすご家族がいる方は、「知らない番号からの電話には出ないで」「1を押すのは絶対ダメ」としっかり伝えておくことが大切です。
まとめ:知らない国際番号は要警戒!
- 「保険医療局」などと名乗る国際電話は詐欺の可能性が高い
- 自動音声で「1を押してください」と誘導するのが特徴
- 実在する行政機関はこのような連絡方法を使いません
- 見知らぬ国際番号からの着信には出ず、すぐに切る
- 不安な場合は、信頼できる公的機関に確認する
こうした詐欺の被害に遭わないためには、日ごろからの情報収集と、冷静な対応が何よりも重要です。不審な電話には、決して応じないようにしましょう。
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